鹿児島発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
そこに身を置くだけで、ピュアな自分に戻ってゆくような不思議な場所、屋久島。 平成5年(1993)に日本初の世界自然遺産に登録された島で、「島の照葉樹林と鯖節」は、環境省の「かおり風景100選」にも選ばれている。 五感を全開にして、この希少な自然を感じる島旅へ。 文/前田真理
鹿児島・種子島への定期フェリーや高速船が就航する、屋久島の北東岸に位置する港。 徒歩15分圏内にレンタカー会社各社の営業所がある。 軽自動車からワゴン、エコカーまであらゆる車種が揃う。
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高速船が発着する宮之浦港に隣接するビジターセンター。 「屋久島のあれが知りたい」という人も、「まだ何にも情報がない」という人も、旅をここからスタートさせれば、屋久島をより楽しめる。 展示コーナーではアテンダントが気候や風土、文化など、島の概要をわかりやすく説明してくれるほか、大画面のスクリーンでは、島の魅力を描いた約25分の映像を放映。 登山や観光の資料やパンフレットもそろっている。
世界自然遺産として国内外の人が心魅かれる屋久島だけに、関連の書籍も数多い。 入り口に関連書籍の販売コーナーを併設。 地図、ビデオ、パソコンなどで、屋久島の自然、気象、交通、文化などの情報を提供しており、無料Wi-Fi(Free Wi-Fi)も利用できる。
宮之浦港を望む海側テラスにあるカフェ「JANE」。 屋久島紅茶や屋久島紅茶を使ったシフォンケーキが好評だ。 ティータイムを兼ねて、館内で入手した情報をもとに、これからの旅行計画を練るのも楽しい。 おすすめはオリジナルカレーセット。
屋久島近海では古くから鯖漁が盛んだが、それを用いた鯖節は屋久島の名物。 鯖節一筋100年の馬場水産があるのは、一湊川の河口の近く。 工場には燻したサバのなんともふくいくとした香りが漂い、その香りにつられてか、ふらりと訪れる観光客も多い。 なまり節やカビ付けした本枯れ節、鯖のゆで汁を水飴上になるまで煮詰めた無添加・鉄分豊富の調味料の煎汁(せんじ)など、馬場水産の自信作を直売価格で購入することができる。
馬場水産では、鯖節になる胴体部以外に頭から尾ビレまで、ていねいに下処理をして、窯の中で24時間じっくりと燻す。 普通なら不要とされる部位まで燻すのは、有機肥料をつくるため。 自然を守り、自然と共生してきた屋久島の人の知恵がここにあった。
本枯れ節は、天然のカビ付けと天日干しを一年間繰り返してカチカチの状態に仕上げる。 十分に熟成したそれは、そばだしに使えば絶品! なまり節は薄切りして塩ラッキョウと一緒に食べるのが屋久島流。 サバ節工場を案内してもらいながら屋久島のサバ節製造の歴史や製造工程の説明を行う工場見学も行っている。
四ッ瀬浜、いなか浜、前浜を総称して永田浜。 全長2.14kmの白砂の海岸は、ウミガメの上陸地でもあり、5月から7月にかけては産卵、8月から9月にかけては孵化の様子やよちよち歩きの小ガメが大海原へと帰ってゆく姿を観察することができる。 写真は、いなか浜。
幾つもの山々が連なり、島全体が「八重岳」と呼ばれる屋久島。 海に近い山々を「前岳」、中央部の山々を「奥岳」と呼ぶが、いなか浜から車で南へ3分ほどの永田集落は、海岸部から唯一奥岳が望める場所。 写真は奥岳の一部の永田岳。
屋久島で唯一、海岸線から世界自然遺産に指定されている地域。 屋久島が世界自然遺産に登録される基盤となったのが、北半球最大規模の照葉樹林の森。 永田地区から栗生地区までの約13kmにおよぶ林道は、その自然にふれられる希少なスポット。 ときおり、野生のヤクシカやヤクザルが姿をあらわすため、安全運転に心がけよう! ちなみに、本格的な森林散策をする際は、YNACガイドツアーへの参加がおすすめ。
森の中では根が複雑に絡まりあった、写真のような大木を目にすることがある。 花崗岩が隆起してできた屋久島は地盤が固く、植物は地中深くに根を張ることができない。 そのため、岩肌に張り付くように根をのばすそうだ。
木々のトンネルが切れたあたりで停車し、振り返ってみよう。 その先には標高1,323mの国割岳があらわれる。 亜熱帯から冷温帯までの気候が存在する屋久島だが、その全容には植生の垂直分布が見てとれる。
絶景ポイント 大川(おおこ)の滝
西部林道を抜け、千尋滝へ向かう途中にある大川の滝。 水しぶきを上げて、豪快に流れ落ちる様子は「爽快!」の一言。 滝壺のエメラルドグリーンの色はとても神秘的だ。 水量が多いときは、高さ88mの断崖を、水が八の字を描いて流れ落ちる。 日本の滝百選のひとつ。
大川の滝から車で45分ほどで、温泉地として知られる尾之間に到着。 そこから山手に入って15分ほどのところに千尋の滝がある。本富(モッチョム)岳の一枚岩を水がV字に切り取り、滑るように流れ落ちる大きな滝だ。 大人が両手を広げた長さが一尋だから、千尋と例えるとなれば、その大きさが想像できるだろうか。 展望所からは険しい山と谷の姿を眼下に、後方には千尋滝から鯛ノ川(たいのこ)を経てたどり着く広大な海が広がっている。
滝の駐車場から展望所へ歩く途中には古い祠がある。 その昔、人々は山に畏敬の念を抱き、山岳信仰が行われていたことを教えてくれる。 ここ原(はるお)は札所でもあったところ。
千尋滝から鯛ノ川へ向かった水の流れは、さらに二つの滝を下って海に注ぐ。 ひとつ目は鯛ノ川に架かる千尋橋から見える竜神の滝、その下流には海に直接注ぎ込むトローキの滝(写真)がある。
屋久島の西端にある宮之浦港から反時計回りに島を半周して、東端の屋久島空港がある小瀬田地区へ到着。 今宵の宿、「縄文の宿 まんてん」に向かう。 緑に囲まれた3,000坪を超える敷地には、客室棟のほかに、離れ形式のスローハウスと特別室、温泉館、食事処、リラクゼーション施設などが点在。 夜は屋上からは満天の星々が望める。 温泉は檜風呂や壺風呂を備えた大浴場のほかに、別料金で家族湯や岩盤浴がある。
写真のスローハウスは、モンゴルのパオをイメージした客室。 和室、洋室ともにあり、いずれもロフト付き。 戸建てのため隣室への気遣いは不要で、フォースの客室もあるため、グループや家族連れに人気。
一日の終わりは、温泉でゆったり…なんて贅沢な時間。 明日は映画『もののけ姫』のモデルとなった白谷雲水峡をめざそうか、安房川でリバーカヤックに挑戦しようか、屋久島の楽しみは尽きない。
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南阿蘇の豊かな水源巡りからスタートし、阿蘇パノラマラインと阿蘇ミルクロード、2つの道を進みながら、「阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇ジオパーク」の観光スポットをくまなく訪れる。 心尽くしが行き届いた宿「湯の宿 入船」で阿蘇の食と大地の温度を堪能してリフレッシュしたのちは、「天空のヨガ」「雲海」「阿蘇の朝日」で阿蘇の早朝を満喫する。
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